口元がすべってしまう楽器=フルート

フルートは演奏している姿が優雅だとよく言われます。

たとえ、コンサートの途中汗をかいても
白いハンカチで上品に押し当てて拭きながら演奏を続ける・・・

と言いたいところですが、実際は

まるでお酒を一気飲みしたあとみたいに口元の汗を手の甲で拭う

それをやってしまうのがフルートなのです。

フルートの演奏会に行って見られたかたはご存知かもしれません。
もちろん、フルートを吹いたことのある人は身に覚えがありますよね。

そう!フルートは口元がすべってしまう楽器なのです。

といいますのも
フルートは楽器を下唇に軽く押し当てて演奏しています。
他の管楽器のように口にくわえたりしていません。
リッププレートという下あごのカーブにあわせて湾曲させた板を
微妙な角度と位置で唇に当てています。

その状態で
非常に早く舌を動かしたり、
強い音を出すために口の中の容積を広げたり
音程を微調整するために下あごを微妙に前後上下させたりして演奏しています。

その上舞台はライトが当たって暑いし、緊張もしています。
つまり汗をかきます。

曲の途中で、少しの休む時間があれば
ハンカチで口元と楽器の汗を拭くことができますが
いつもそうはいきません。

ほんの数秒の間にどうしても口元の汗を拭わなくてはならないときがあります。
それができなければ
ズルっと唇に当てた楽器がずれて音がでなくなったり
ひどい音になったりしてしまうのです。
それはどんなことがあっても許されません。

必死にすばやく手の甲で口元の汗を拭う=実はこれも練習がいるのです!
でも見た目お酒を一気飲みしたあとみたいですよね。

しかし、このしぐさ
フルーティストは必死なので気にせずやってしまいます。
レッスンでも先生から
「あなた、その汗の拭き方はステージマナーとしてよろしくありませんことよ」
などと注意されません。だって先生だって絶対やるんですもの。

汗を拭くヒマのない長い曲を演奏する場合
あらかじめリッププレートに切手の切れ端を貼り付けて滑り止めにしたりします。
フルーティストそれぞれ工夫してこのピンチを乗り越える手立てを考えます。

ちなみに、多くの女性のフルーティストは唇が滑りやすくなるので口紅は塗りません。